うつ病

うつ病とは

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が長期にわたって続き、日常生活に支障を来たす状態です。「眠れない」「食欲が湧かない」「やる気が出ない」「何をしていても楽しくない」といった症状が2週間以上続き改善しないときには、うつ病の可能性があります。気分がすぐれない状態が改善せずいつもと異なるとお感じの時は、早めに相談ください。

気分がすぐれないときに「精神科に受診する」という行為は大変負担を伴うものだと思います。しかし、ご自身のつらい症状は治療を受けることで改善する可能性があります。お一人で判断せず、ご家族などと相談し、早めに医療機関にご相談ください。

うつ病の主な症状

精神的な症状

• 憂鬱な気分、悲しい気分が続いてイライラする
• 何事にも興味がわかず、楽しくない
• 疲れやすく、気力が出ない
• 物事に集中できず、不注意なことが増えた
• 自分に自信が持てない
• 自分には価値が無いのだと感じ、自分を責めてしまう
• 将来について悪い方向に考えがち
• 生きていても楽しくない、死にたくなる
• 落ち着きがなくなった
• よく眠れない

身体的な症状

• 食欲がない
• 吐き気や嘔吐がある、お腹が痛い
• 便秘や下痢が続く
• 身体がだるい
• 頭が痛い、手足などが痺れる
• 胸がドキドキする、息苦しい
• 喉がよく渇く、すぐにトイレに行きたくなる

うつ病の原因

うつ病の原因は様々です。一般的には、セロトニン、ノルアドレナリンといった、脳内の神経伝達物質のはたらきが悪くなることが原因とされています。しかし、なぜそういった神経伝達物質の異変が起こるのかははっきりしていません。心配事や悩みを抱えること、過労や不眠といった肉体的なストレスや、転職や結婚、転居などの環境変化といった複数の要因が組み合わさって起こるといわれています。

脳内の神経伝達物質が上手く機能しなくなると、物事を否定的に捉えたり、自分を過度に責めたりするようになります。その結果、普段ならば乗り越えられるようなストレスを重圧に感じ、うつが悪化する悪循環に陥ることがあります。

主な治療法

休養

うつ病の方のこころは心身のエネルギーが枯渇した状態にあります。このような状態を改善しエネルギーを再充填するには、日常生活のストレスを減らし、しっかりと休養を取ることが大切です。うつ病の症状が強いときは、仕事や家事から離れて休養を取るため、入院する方法もあります。当院ではご希望があれば入院可能な医療機関への紹介を行います。

精神療法

精神療法は、心理的な側面から症状の改善を目指す治療法です。一般的にカウンセリングと言われます。医師や臨床心理士が、会話を通して一緒に問題解決の方法を考えていきます。特に人間関係など、周囲の環境が原因で起きたうつ状態を治療することに適しています。当院では専属の臨床心理士が不在であるため、継続的なカウンセリングをご希望される方には専門の医療機関の紹介をさせていただきます。

薬物療法

うつ病の治療では、様々な原因によって減少した脳内の神経伝達物質を回復させるため、抗うつ薬を中心とした薬物療法を行います。意欲のなさ、不眠、将来への不安といった、もう治らないのではないかと感じる症状も継続的に薬物療法を行う事で改善できることがあります。
抗うつ薬を一度飲み始めたら一生飲み続けなくてはいけないのではないか、と不安になる方もいらっしゃいます。うつ病の場合、病状が改善し神経伝達物質の働きが正常にもどれば、治療終了、つまり内服が不要となることも多くあります。
当院では治療期間がなるべく負担の少ないものになるよう、必要最低限の薬物使用を心がけております。治療に際して、ご不安な点、ご希望などがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。

症状によっては、抗うつ薬に加え、抗不安薬や睡眠薬などを併用することがあります。一部の薬剤に関しては、継続的に飲むことで心理的に頼ってしまったり、飲まないとかえって不安になってしまう事があります。当院では薬物適正使用の観点から、不必要な薬物については減量、整理にご協力させていただきます。